医療スタッフのブログ

日本人の肝臓がんの患者の約80%はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染が原因

肝臓に炎症を引き起こすウイルスは、ウイルスの発見順にA型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。これらはサイトメガロウイルスなどの肝炎を起こすウイルスとは異なり、肝臓細胞を主な増殖の場としているため、「肝炎ウイルス」と呼ばれています。

治療の中心はインターフェロン

症状の程度こそ異なるものの、いずれのもウイルスでも発熱、全身の倦怠感、吐き気、黄疸(皮膚と白目が黄色くなる)などの症状が見られます。5種類の肝炎ウイルスのうち、国内で承認されているワクチンはA型とB型だけですが、中国ではE型肝炎ワクチンが2012年に承認されています。

A型とE型の肝炎ウイルスは主に飲食物を介して感染が起こります。従来、E型の肝炎ウイルスは国内に存在しないとされてきましたが、近年はシカやイノシシなどの野生動物の生肉を食べた人を中心に感染が報告されるようになってきました。そのほか、東南アジアなどE型肝炎ウイルス常在地に旅行・出張し、帰国後にE型肝炎を発症するケースも出ています(輸入感染症)。

B型、C型、D型の肝炎ウイルスは輸血や針刺し事故、セックスで感染したり、母子感染を引き起こします。これらの3種類の肝炎ウイルスは、感染者の体内に止まることで持続感染に移行し、慢性肝炎を引き起こすことがあります。慢性肝炎は放置していると10年以上かけて、肝硬変、そして肝臓がんへと進行していきます。

国内に200万人のキャリアがいるとされるC型肝炎ウイルスによる肝臓がんが大きな問題となっています。日本人の肝臓がんの患者の約80%はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染が原因で、約10%がB型肝炎ウイルスの感染が原因です。しかし、急性肝炎の症状はB型の方が激しく現れます。

手術に伴う輸血の需要が高まった1950年代後半以降、感染者の血液を介してB型やC型の肝炎ウイルスの感染が急増しました。これらの感染者では、急性肝炎の症状が治まった後でも、ウイルスは排除されずに持続感染となり、慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんへと進行します。C型肝炎の患者さんの約80%は慢性肝炎に移行するとされています。

B型肝炎ではこういった進行をたどることは稀とされてきましたが、同性愛者間のセックスで感染例の多い「ジェノアA」と呼ばれるタイプのB型肝炎ウイルス(HBV)は、慢性化しやすいため注意が必要です。B型肝炎の最大の感染原因はセックスで、患者さんの半数を占めています。特に男性が外国人の女性とのセックスで感染するケースが増えています。

母親から感染した乳児は免疫機構が未発達のため、C型だけでなくB型も持続感染のリスクが高くなります。ただし、国内では妊婦さんの健診制度が充実しているため、母子感染は激減しています。同様に輸血の診断法が確立された現在は、手術の際の輸血で感染するリスクもほぼゼロとなっています。

しかし、国内では現在もB型やC型肝炎ウイルスに持続感染している人たちが、それぞれ100万人、200万人いるとされています。インターフェロンやラミブジンなどの治療が効果をあげていますが、100%の患者さんのウイルスを排除するには至っていません。

B型肝炎の治療に使用される抗ウイルス薬には、インターフェロンと核酸アナログ薬(ラミブジン、エンテカビル、アデホビルなど)があります。インターフェロン療法は即効性はありませんが、30~40%の患者さんでウイルスの増殖が抑えられ、肝炎が治まるとされています。一方、核酸アナログ薬は即効性に優れているものの、長期間使用すると薬剤耐性のウイルスが出現しやすいという欠点があります。

一方、C型肝炎の治療の中心は、ペグインターフェロンとなります。ペグインターフェロンは体内での半減期が長いため、治療効果が持続するのが特徴です。補助薬としてリバビリンと併用することで効果が高まります。