医療スタッフのブログ

院内感染を予防するため医師や看護師などの医療従事者はワクチン接種が重要

感染力が非常に高い麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘に罹ると、合併症を引き起こすリスクが高いため重症化しやすいという傾向があります。これは医療機関を受診・入院している患者さんに限らず、医療機関で働く医師や看護師、薬剤師、臨床検査技師などにも感染のリスクが生じます。

看護師はhbワクチン接種が大切

特に医療従事者が女性の場合、妊婦さんの割合も一定数いることが想定されるため、妊娠中の感染により流産や選定性風疹症候群など胎児に悪影響を及ぼす可能性もあります。したがって、医療従事者(常勤・非常勤を問わず)や実習学生で免疫のない人は、院内感染や職業感染防止のために、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘、インフルエンザ、B型肝炎ワクチンなどの接種を受ける必要があります。

感染症が、免疫のない人を何人感染させる力があるかを示す数値を「基本再生産数」といい、2009年に流行して問題となった新型インフルエンザは1.4~1.6となっています。麻疹(16~21:空気感染)、風疹(7~9:飛沫感染)、水痘(8~10:空気感染)の数字を見れば、こえらがいかに高い感染力を持っているかがわかります。

特に麻疹と水痘は空気感染を起こすため、陰圧隔離が必要となりますが、発症数日前の段階で強い感染力があるため、発症後の隔離では手遅れになることがあるという点も、感染が拡大しやすい大きな理由となっています。

成人が感染すると、麻疹では間質性肺炎や脳炎、風疹では関節炎や脳炎、水痘では間質性肺炎が合併症として起こりやすく、なかでも妊婦さんが感染すると、流産・早産が起こりやすくなるだけでなく、風疹では先天性風疹症候群、水痘では先天性水痘症候群、妊婦さんの水痘肺炎、新生児水痘のリスクがあります。

ワクチン接種対象者の決定の際には、免疫の有無の評価を行う必要があります。ワクチン大国のアメリカでは、麻疹の罹患防止に対する免疫の評価は、①検査で確定診断された既往歴、②2回のワクチン接種、③抗体陽性の証明となっています。日本では主に血清抗体価を測定して免疫の有無を決定しています。

しかし、罹患防止には血清抗体のほかにも特異細胞性免疫、粘膜上の分泌型IgA抗体などの免疫も関係しているので、抗体価のみをもって罹患防止できるかを正確に判断することは困難です。つまり特異細胞性免疫や粘膜上の分泌型IgA抗体の測定ができない現状では、抗体陽性となっても罹患するリスクがあることになります。

しかし、過去の陽性ではあるものの低抗体者に罹患例が見られたことから、麻疹や風疹に対する罹患防止の基準抗体価は高めに設定されており、その結果ワクチン接種の対象者は増加しています。

B型肝炎の感染予防
HBV(B型肝炎ウイルス)に感染した患者さんに使用した注射針で針刺し事故を起こした場合、HBs抗体陰性者の感染率は約30%と高くなっています。したがって、医療従事者や実習学生はあらかじめHBワクチンの接種を行い、抗体陽性にならない場合は、再度ワクチン接種を行います。

針刺し事故の状況はエピネット(針刺しや皮膚粘膜の汚染事例の報告システム)によって管理し、問題点を分析して予防に向けた取り組みに活かすことが重要です。

インフルエンザの予防
医療従事者のインフルエンザの接種率が高くない現状で、入院中の高齢者などがインフルエンザに感染して死亡すると、医療機関の予防対策が不十分という非難を免れません。インフルエンザワクチンの有効率はその年の流行株とワクチン株の一致状況によって変化することにくわえ、有効率は約50%と高くありません。しかし、そのような状況にあっても、医療機関には最大限の予防策を実施する必要があることから、インフルエンザワクチンの接種が推奨されます。

医療従事者であっても、過去に自身がどのワクチン接種を受けて、どの感染症に対して免疫を有しているのかを忘れてしまい、先述の感染症や針刺し事故ん遭遇した際にパニックになることがしばしばです。医療機関で医療従事者の抗体価の記録を管理することは勿論、医療従事者は自身の抗体価が一目でわかるように、一覧表にして名札の裏に入れておくなどの工夫をしておくと、いざという時に迅速な対応が可能です。